センター年報発行の意義

 多くの関係者の皆様のお力添えにより、無事に『淑徳大学高等教育研究開発センター年報』を創刊することができました。私自身、学内の年報の創刊に関わるのは、2010年度に創刊した『淑徳大学サービスラーニングセンター年報』に続き、2冊目になります。編集後記に代えて、私が2つのセンター年報の発刊に関わる中で、「センター年報」とは、どのような「性格」、「ツール」であるべきかという私見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、「センター年報」はPDCAサイクルの「ツール」として活用できるようにすることが必要なのではないかと思います。とりわけ、センター年報の役割は、1年間の活動(P→D)の記録を「見える化」することにより、C(測定・評価活動)につなげていくことであると考えています。そのため、各年度の「到達目標」を明示化し、1年間の活動をまとめることで、その「到達目標」が達成できたかどうかを確認し、達成できていれば、その「成功要因」を明らかにすることで、次年度以降の活動にも活かしていくことができると思います。一方、「到達目標」が達成できていないものがあれば、その「要因」を検討することで、次年度以降の活動において、「改善」(PDCAサイクルの「A」の活動)が可能になり、活動そのものを発展させていくことができると思います。
 本センター年報の編集においても、この点においては、さらに改善していく必要があると認識しており、その反省を第2号に活かしていきたいと考えています。
 次に、本センター年報では、学内外の様々な高等教育に関わる研究成果、事例・実践からの知見を集め、高等教育に関わる研究や手法を向上させていくためのオープンで学術的な議論の場を設けることです。ここで言う「オープン」の意味は、立場も年齢も関係なく、自由闊達な議論ができるということです。「新しいアイディア」を生むためには、たくさんの「知識」や「情報」を集め、有機的にそれらを結び付けながら、創造的な活動を行っていく必要があると思います。現在、多くの大学でラーニングコモンズが設置されていますが、ラーニングコモンズは、そうした「創造的な」学びの環境を学生の皆さんに提供するためのものです。こうした「知識創造」のプロセスを支える「ツール」としての役割も、本センター年報にはあると考えられています。
 本センター年報の発刊に関われた多くの皆様のご協力とご支援に心より感謝申し上げます。

『淑徳大学高等教育研究開発センター年報』編集委員会委員長
矢尾板 俊 平(コミュニティ政策学部准教授)

※淑徳大学高等教育研究開発センター年報第1号(2014年3月)「編集後記」に掲載
(一部、加筆・修正・削除)