根拠ある投票選択(Evidence Based Voting)を目指して

近年、根拠ある政策形成(Evidence Based Policy Making)の必要性が問われていますが、選挙においても投票先の選択において、根拠ある投票選択(Evidence Based Voting)を広めていくことが日本の民主主義を成熟させ、「民主主義の価値」を高めるためには重要であると考えています。

公職選挙法が想定していない選挙運動の在り方、さらにはフェイクニュースやファクト無きSNSによる情報の拡散行為により、「民主主義」は危機に直面していると思います。公職選挙法の現代化(改正)の必要性はもとより、選挙において、有権者に根拠ある投票選択(Evidence Based Voting)の機会を提供していくことが重要だと考えています。

根拠ある投票選択(Evidence Based Voting)とは

「根拠ある投票選択」にあたっては、基本的には「ロジックモデル」の考え方を踏まえて、その情報提供を行います。

インプット(資源投入)、アウトプット(事業実施結果)、アウトカム(成果)、ソーシャルインパクト(社会的影響」の4段階を想定し、特に、「アウトカム(成果)」を重視しています。この調査での「アウトカム(成果)」は、事業を実施したことについて、住民(県民)が「評価しているか・評価していないか」、「満足しているか・満足していないか」を測定することにより、数値化を図っています。また、ソーシャルインパクトについては、例えば、「〇〇モデル」といった他地域への波及性等により、判断していくことがひとつの方法として考えられます。

千葉県民意識調査の結果について

研究成果を社会的に還元することを目的に、「地方創生施策の定量的な検証に関する研究」(研究代表者:矢尾板俊平)において実施されたWEBモニター調査結果を公表するものです。

有効回答数:8,491名

千葉県の地方創生戦略について

千葉県の地方創生戦略を知らない人は92.7%と非常に多いことがわかりました。個別の取り組みと地方創生戦略が結びついていない可能性がありますが、広報・普及・啓発活動の拡充が必要であると考えられます。

4年間の熊谷俊人知事の取り組みについて

アンケート調査の結果より、全体的に高く評価されていることがわかります。特に、北総鉄道の料金値下げ、千葉市消防ヘリコプターの県全体での運用の実現が高い評価を得ています。

また施策分野における重要度と満足度の関係については、概ね「比例」関係にあり、県民が重要だと考える施策分野の満足度は高いことがわかります。特に、公共交通分野、医療分野、防災・災害分野の重要度と満足度が高いことがわかりました。満足度については、まちづくり分野、こども支援分野、高齢者福祉分野が高いことがわかります。また、物価対策分野と治安・防犯対策分野の重要度が高いため、生活支援や治安・防犯対策への取り組みが、さらに重要になると考えられます。

本研究はJSPS科研費JP19K01480の助成を受けたものです。

千葉市民意識調査の結果について

研究成果を社会的に還元することを目的に、「地方創生施策の定量的な検証に関する研究」(研究代表者:矢尾板俊平)において実施されたWEBモニター調査結果を公表するものです。

有効回答数:千葉市在住者3,900名

4年間の神谷俊一市長の取り組みについて

アンケート調査の結果より、全体的に高く評価されていることがわかります。特に、こども関連施策に関しては、高い評価を得ています。一方、物価対策への評価は、他の項目と比較すると35.6%と低いことがわかりました。

また、施策分野における重要度と満足度の関係については、概ね「比例」関係にあり、市民が重要だと考える施策分野の満足度は高いことがわかります。特に、医療分野、公共交通分野の重要度と満足度が高いことがわかりました。また、満足度については、まちづくり分野、こども支援分野、保育分野が高いことがわかりました。一方、物価対策分野は、重要度は高いですが、満足度は低く、上記の物価対策への評価が相対的に低かったことにつながっていると考えられます。以上より、課題としては、物価対策等の生活支援・経済的施策のさらなる対策が挙げられます。

若者の移住・定住、就職支援について

若者の移住・定住、就職支援としては、住宅購入補助の実施や生活費負担軽減のための「まちの「社員食堂」の実現」への回答が多く、生活支援や教育の拡充が重要であることが示唆されます。また「教育の質」への回答も多く、例えば、高校の「無償化」に伴い、公立高校(市立高校)のさらなる特色化や魅力化等の取り組みが重要であると考えられます。

本研究はJSPS科研費JP19K01480の助成を受けたものです。